猫目、狸目、泣黒子

目元に目が無い

36°の電熱線

私は抱き枕を抱いて、肌触りの良い、自分の匂いがする布団に足まで包まれて眠るのが好きだ。

冬は特に冷え込むから、自分のいないベッドは冷え切っていて、入った時から暖かければと思う日は少なくない。

ただ、一度包まれてその体勢を確立すれば、柔らかくじんわりと冷え込んだ布団達は熱を持っていく。

ストーブの暖かさは、速効性はあるが同じ距離感で当たっていると熱くなってくる。

人肌は、その36°の熱のまま、柔らかく暖めてくれるのだ。

そんな36°の電熱線が、物言わぬ抱き枕にも敷かれていたら、どんなに良かっただろう。

 

冬になると布団から出れない。

 

熱源は、私しか居ないから。